新型コロナウイルスの世界的な感染を経験して、休眠状態だったブログを再開することにしました。世界規模の非常事態はそれぞれの国の教育体制を映し出しました。私が関心を持っていたヨーロッパの高等教育はどのように反応を示したでしょうか?

1999年のボローニャ宣言以来、どのようにして無償の高等教育を実現するかは、教育研究者にとって重大な課題でした。このような状況については、以前のブログで紹介してきました。実質的な活動が始まったのは2000年になってからです。しかしそれから20年、さまざまな試行錯誤と失敗を重ねながらもその方向が見え始めたときにCOVID-19のウィルスが襲ってきました。

わが国では新学期の始まりとも重なったので、従来の授業との違いが無いようにとの配慮が優先されました。ゼミも一斉授業もできるだけ違わないようにと!  その結果、それに相性の良いZoomが採用されたようです。できるだけ学生の積極的な参加ができるようにとの配慮も画面上の少人数の小部屋に移って議論することによって、それを実現することができました。

この時期、私も京都大学の西にあるフランス会館ー関西でフランス語の上級クラスを受講していたのでZoomによる授業を体験することができました。次の3つの土曜日のクラスです。 

10時30分ー12時30分     総合フランス語上級B2

13時30分ー15時30分     別の講師による続き

16時00分ー17時30分     食文化を巡る会話中級B1

土曜日終日の5時間30分にわたるフランス語漬けの苦行です。

これには理由がありました。若い頃、1966ー67年にフランス政府給費留学生としてパリ近郊の技術教育高等師範学校(当時のÉcole  Normale Supérieure de l'Enseignement Technique、現在は改名)に滞在して帰国後に技術関係の翻訳、教育分野の翻訳をしていましたが、あまり多くの仕事のないまま過ごしていました。2000年頃からのヨーロッパの高等教育の新しい動向に興味を持ち、資料を訳し始めていたのですが、もう一度フランス語を勉強しようと思い立ったのが82歳の時です。いきなり上級クラスは無理だったので、中級クラスから始めて今は上級クラスです。このような時にコロナウイルスに襲われて在宅でのZoomによる授業で、現在も続行中です。

もう一つは、マドリッド在住のピエールとノエミによるYouTubeを利用したフランス語講座http://www.francaisavecpierre.coです。この講座には初級と中級レベルの学習材が沢山あり、原則無料です。良く整理された資料はパッケージ になっていて有料です。

この5月からは中級/上級コースが始まりました。AIも活用しているfrantastiqueと連動していて評価を重視したシステムになってきました。これらはいずれもチームで開発されています。

講師1人が対応するZoom方式と、大勢の人がチームで協力して対応しているYouTubeAI方式の両方を学習者として経験することができました。